2016年2月13日土曜日

MFAの着物イベント

昨年、MFAでモネの「ラ・ジャポネーゼ」という絵と同じ打掛を着るというイベントが
開催されましたが、抗議があり、中止されるという出来事がありました。

日本でも少し報道されていましたが、どういった抗議があったのか、なぜ中止になったのか、
あまり経緯がわからなかったのと、実際に反対している人がどういう気持ちで反対していたのか
知らないままでいるのは怖いと思い、もじゃさんとお友達とMFAのイベントに参加してきました。

登壇者の方は、ジェンダーの先生、アート系の方、アジア系アクティビスト、博物館員、
ヒスパニック系アクティビスト、MFA職員の方でした。

色々な観点でのお話があり、すぐに自分の中では消化しきれなかったのですが、
私が感じたのは、

・イベントに対するアートとしての意味合いがきちんと説明されていなかった
・人生の中で、アジア系ということが理由に馬鹿にされるなどの経験をしている人が多い
・白人男性中心で決められた物事で辛い思いをしている人がたくさんいる
・同じ「日本人」でも、アメリカが長いか、日本が長いか、ボストンに来たばかりか、
そういうことでもアイデンティティは違う

というようなことでした。

私自身、ボストンに来て早2年ですが、日本人だということが理由で、
得をしたことはたくさんありますが、嫌な気持ちになったことは実は一度もありません。

きっと、ボストンにいる期間が短く、多様な人と関われていないということが
理由にあるのだと思いますが、こちらに長く住まれている人はそれだけ様々な経験を
されているのだろうなと考える機会になりました。

そういった辛く苦しい意見を生で聞いて、実際心を動かされても、
今回のこの1件は、残念ながらアジア系アクティビストたちに利用されたにすぎない。
という結論に自分の中ではなりました。

「自分たちは差別されている」と少しでも感じられる出来事を取り立てて、
自分たちを被害者に仕立て上げて、それを強く世間に訴えかけていく、
そういうやり方なのだなということも初めて学びました。

その一方で、ずっと日本で育った私には、何が彼らの気に障るのかの
アンテナがすぐに立たない。差別に気付く力がすごく弱いなとも思いました。

もっと生産的に、何が悪かったのか、どうすればよかったのか、
どんな見せ方、展示の仕方だったら誰も嫌な思いをしなかったのか、
誰も嫌な思いをしないということが難しいのであれば、どういった配慮ができたのか、
そういった議論になっていくといいなと思いました。

いずれにしても、これからここで、明らかにアジア系と分かる顔で、
一生生活していく覚悟を新たにできたことと、自分の子どもが経験するであろう苦しみを
きちんと受け止めることができて、本当に良い機会となりました。

自分と違う意見を受け止めるのは、本当に辛く、エネルギーを使うものですが、
色んな意見がある中で、きちんとその意見を聞いて、自分で判断することが大事。

もじゃさんともいっぱい議論して、納得し合って、本当に貴重な機会になりました。

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